学校名

秋田大学教育文化学部附属中学校

授業者

伊藤 郁子

共同研究者

佐藤 修司

主題名と指導のポイント

「挑戦し続けること」内容項目〔A-(4)〕希望と勇気・克己と強い意志
-自分の好きなことを大切にして努力する生き方に、どんな価値を見いだせるか-

ねらいと教材

(1) ねらい 自分の好きなことを大切にして生きるために必要な選択や行動について考え、追求しようとする実践意欲を育てる。
(2) 教材名「ウォルト・ディズニー」(抜粋) コミック版世界の伝記 ポプラ社

主題設定の理由

(1) 主題に対する指導者の基本的な考え方
自分自身で目標を設定し、その達成を目指すことは、日々の生活や人生を充実したものにする。
しかし、目標を実現させるためには様々な困難を乗り越えなくてはならず、その過程で挫折や失敗を経験することもある。
中学生の時期は、難しい問題に直面して簡単に物事を諦めてしまったり、挫折や失敗を悪いことのように捉え、それを見せないようにしたりすることがある。あるいは必要以上にプレッシャーを感じて健康を害するなど、理想どおりにいかないことに苦しむケースも見られる。そこで、様々な人の生き方を学ぶことで、困難や失敗を乗り越えて挑戦し続けることが、人生の充実にもつながることに気付けるようにしたい。同時にそれが、他者の個性を認め、いろいろなものの見方や考え方に基づいて判断することにもつながっていくことを期待する。充実した生き方について考えることは、深い喜びを伴った人生を送るためにも重要であると考える。

(2) 主題に関する生徒の実態
本校生徒の実態として、1年生の段階では、将来の夢や目標を生き生きと語る姿が見られる。
しかし、学年が上がるにつれて、目標と現状の差を受け入れられず、気力をなくしてしまう生徒も見られるようになる。その要因の一つとして、進学校に合格することや、社会的に地位が高いと思われる職業に就くことこそが人生の成功と捉える考えが、生徒の背景に強くあるものと推察する。
本時の学びが、主観的なものの見方にとらわれず、客観的に考えることや、見方や考え方が一面的になったり、硬直化したりする傾向を和らげるきっかけになってほしいと願う。広い視点に立って掲げた希望や目標であれば、勇気をもって、苦しさから目を背けずに努力したり、あるいは、新たな夢を見つけてがんばろうという気持ちを奮い立たせたりすることにもつながっていくのではないかと考える。

(3) 教材の特質と取り上げた意図
この教材の出典である『世界の伝記「ウォルト・ディズニー」』は、ミッキーマウスやディズニーランドを創った人物の人生を紹介した学習まんがである。世界的に有名なアニメーターであることや、国際的な大企業『ディズニーリゾート』の創立者であることが際立って有名なウォルト・ディズニーであるが、実はその人生は、数々の挫折を繰り返しながら新しいプロジェクトを進めていった、波乱に満ちたものであった。信頼していたアニメーターの大半をライバル社から引き抜かれ、自社キャラクター(オズワルド)を失って破産寸前に追い込まれながら、それでも夢を諦めきれなかった彼は、その後「ミッキーマウス」を世に送り出したのである。
成功を収め、全てを手に入れているかのように見える人物でも、実はその背景に様々な失敗や苦悩を抱えているケースがある。どのような状況の中でも努力し続けるためには、希望と勇気を失わない前向きな態度や、失敗を柔軟に受けとめる姿勢が求められる。ウォルト・ディズニーが好きなことを追求した理由について考える学びを通じて、自分が追い求める生き方について真剣に悩んだり、目標の実現に向けてどんなことができるかを前向きに考えたりしようとするなど、様々な立場から自己の生き方を見つめることが大切であるという意識の高揚を求めたい。

研究の具体的な実践事項

問い直しの場面では、絶望や困難を乗り越えながら、自分の夢を追求し続けたディズニーの生き方について、学級全体で考える。自暴自棄にならずに信念を貫くことや、好きなことを追い求める生き方の価値について、多様な意見を取り入れながら考えさせたい。「コラボノート」と、従来の「ミエルトーク」を活用し、生徒の考えを学級全体で共有し、議論し合う中で、考えを広げたり深めたりできるようにしたい。

活動の様子

生徒の反応

  • コラボノートを通じて、様々な表現を取り入れながら自分の考えを練り上げていた。
    (自分一人では思いつかないような考えを生み出すことができ、生徒の満足感につながっていた。)
  • 生徒の方から「強調したいところに色をつけてみてもよいか」などの提案があった。
    (自分:教師側の技術の向上により、ますます可能性を広げた活用ができると思う。)

生徒の感想

  • 今までは、同じ班の人の感想や、全体で発表した人の考えしか知ることができませんでした。しかし、コラボノートを使うことによって、学級みんなの意見が見られて、とてもわかりやすかったです。
  • 発表だけでは聞き取れない内容もありますが、何度も見直したり確認したりできるところが、コラボノートのよさだと思いました。
  • 発表したくても、勇気がなくて挙手できないことが多いのですが、コラボノートだと、躊躇せずに自分の考えを発信できるので、うれしいです。

この実践の指導案について

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なお、お申し込みは小学校、中学校の先生を対象とさせていただきます。

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