講義のねらい

2021年度の鳴門教育大学教職大学院の集中講義「ワークショップ型研修の技法」では、受講生が協働的に教員研修を開発するワークショップを取り入れた。本来は、対面による授業形態が適している。「GIGAスクール構想」との関連で、今後、学校現場や教育センター等ではオンラインによる研修も併用されていく可能性がある。敢えてオンラインによる協働的な研修プラン開発に挑戦した。

講義の概要・ICT活用のポイント:(授業で活用した機器、活用の工夫点など)

2日間8コマ(各90分)を通して、講義及び受講生による発表、協議はZoomを活用した。チームに分かれての協議はブレイクアウトルームセッションを活用した。本集中講義の肝にあたる協働的な研修プランづくりにはコラボノートEXを、Zoomのブレイクアウトルームセッションと同時並行で活用した。成果物の発表もZoomとコラボノートEXを併用し、さらに受講生以外の全国の現職教員に向けて行い、広く助言を得た。

コラボノートEX活用のポイント

コラボノートEXの中にテンプレートとして「校内研修プラン」のフォーマットを貼り付けた。同フォーマットは協働で開発したプランを完成させて提出するWord及び個人で作成するプランを提出するWordと同形式である。成果物の発表もZoomとコラボノートEXを併用し、さらに受講生以外の全国の現職教員にコラボノートEXの成果物を共有することで広く助言を得た。Webブラウザで動作し、専用ソフトのインストールが不要なコラボノートEXの良さが発揮された。

受講生の反応と感想

感想の概要は以下の通りである。
【良かった点】

  • グループで協議しながら同時に『ふせん』を入力できたので、対面でのワークショップとの差はない。
  • インターネットにアクセスできる環境であれば、いつでも考えを書き込んだり、作業したりできる。
  • 実際に参加者が作成したという実感があり、研修で得た意見の共有もしやすい。
  • コラボノートEXの画面をPDFファイルに保存できる。
  • 模造紙や付箋などの準備物の用意の手間が省ける。
  • ICTが苦手な私でも使いやすかった。デザイン性もよい。
  • 学校の多様な課題について管理職含む全教職員が意見を出し合い、整理し、テーマごとにグループに分かれて調査・研究するのに適している。

【問題点と改善点】

  • フォントを変えるときに、毎回設定し直すのが手間だった。
  • 一度に変換できる機能があるとよい。
  • 『ふせん』を貼り付ける作業が手間である。

コラボノートEXの画面

➀コラボノートEXの使い方に慣れる目的で、各自が考える学校現場の課題を『ふせん』機能を用いて出し合い、整理した。

➁表のテンプレートに絞り込んだ研修テーマと希望を『ふせん』を用いて行った。その際、受講生の学校種等で色分けを行った。各チームの学校種のバランスが一覧できた。

➂このシートは「授業づくり」チームの途中の様子である。他のチームの作業の様子が閲覧できるところがよい。他チームの整理の仕方を参考にしたり進行状況を確認できる。

➃共通のテンプレートとして「校内研修プラン」のフォーマットを用いた。このことにより、校内研修を開発する上で必要なことを必ず考えることができる。また、発表時において、共有化を図りやすい。最終的には、同形式のWordで提出するので有効である。

➄授業最終の成果物の発表時においても、コラボノートEXとZoomを同時に活用した。受講生以外にもコラボノートEXを公開したので、全国各地の現職教員からの助言を得ることができた。

➅GIGAスクール構想の進展により、新型コロナウイルス感染症が終息した後にも、オンラインによる集合研修が併用されていくと予想される。協働的に指導案や研修プラン等を開発するワークショップはオンラインでは難しいと考えられがちであるが、今回の実践は新たな可能性を提案できた。

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